【推薦度】
★★★(3.5)
マーケティングの入門書です。初めてマーケティングを学ぶ人ににとってはかなりの良本です。
重要な概念を紹介しながら、ストーリー仕立てで読みやすかったです。マーケティングをこれから一から学びたい人にはおすすめです。
【概要】
マーケティングは、買ってもらうための活動。マーケティングは何かを買う時に必ず起こっている。なぜその場所でそれを買ったか(なぜ他のものは買わなかったか)、を日々考えて、マーケティング脳を持とう。
マーケティングで大切な4つの理論がある。ベネフィット、セグメンテーションとターゲティング、差別化、4P。
ベネフィットとは顧客にとっての価値。例えば、ドリルはドリルを売っているのではなく、穴を売っている。穴が顧客にとってのベネフィット(便益)。
顧客はベネフィットに対して対価(時間、手間、お金)を払うので、価値を大きくするか、対価を下げるかで差別化ができる。
また、ベネフィットには機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットがある。機能的とはその商品が本来提供する何か。例えば時計であれば、時間がわかるということ。情緒的とは、その本来的な機能以外の価値。例えば、時計を付けているとプロフェッショナルに見える、など。
人は、生存・他者との関係・自己成長の欲求を果たす為に購入する。だから、どのようなベネフィットを提供しているかを定義してマーケティングを行うことが大事。それ自体がマーケティング活動。
セグメンテーションは顧客を分ける、ターゲティングはどこのセグメントを狙うか。
セグメンテーションは、統計的分けるか、ベネフィット・ニーズによって分けるか。
ターゲティングの時の一般的な基準は、市場が大きいか(お金の取引額が大きいか)、競争の激しさと自社の強み(強みを活かし競合に勝てるか)、その価値が本当に必要か。
また、複数のセグメントは狙えない。
差別化は、同じセグメント内でどれだけ商品・サービスを他の競合から引き離して目立たせるか。
消費者は業界なんて気にしない。欲求が満たされるなら何でも良い(マクドナルドの競合はハンバーガー業界だけじゃない)。だからこそ、誰を競合と捉えるかは要注意。
そして、価格以外の要因で差別化しないといけない。
3つの差別化戦略は、手軽軸(安いか、簡単に手に入いるか)、商品軸(質)、密着軸(ファンになれるか、熱狂できるか)。中途半端はダメ。ある軸が平均より低くてもダメ。
4Pは、商品(Product)、販売促進(Promotion)、流通(Place)、価格(Price)。
まずは、商品で具体的にどのような価値を届けるか。そして、販売促進でどうやって伝えるか。どこで宣伝するかとどのようなメッセージで伝えるか、が大事。
4Pは一貫性が大事。差別化戦略とも一貫する必要がある。
【感想】
ストーリーが織り交ぜられたマーケティングの入門書です。
マーケティングの初歩的なコンセプトが、売り上げ不調なイタリアレストランの再建を目指す若手社員の話とともに説明されていました。
入門書として、非常に読みやすかったです。もっとマーケティングについて学びたくなる本でした。
情報収集や購買活動が面白くなりそうです。
時計を買う時に、本当は何を買っているのか?何の欲を満たそうとしているのか?
どこで時計(やブランド)について知ったか?欲求が満たされるとなぜ思ったか?
なぜ1000円の時計じゃダメなのか?なぜカシオじゃダメだったのか?
そんな事を考えながら生活すると色々発見がありそうです。
どのような対価でどのような価値を提供しているか、
そしてその価値を消費者に届けるためにどのような取り組みを行っているか、
そんな事を考えてマーケティング脳を持とうと思います。
<参考文献>
佐藤義典,ドリルを売るには穴を売れ,青春出版社,2006.
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